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目的: ホジキンリンパ腫の標準療法であるABVD療法(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン併用療法)を対象に、化学療法誘発悪心・嘔吐に対するグラニセトロンまたはパロノセトロン単独とコルチコステロイドの併用による制吐効果と安全性について、後ろ向きに調査を実施した。.
方法: 本研究の適格基準を満たす患者は39名だった。患者は、ABVD療法施行前に5-HT3受容体拮抗薬(グラニセトロンまたはパロノセトロン)を静脈注射にて投与された。また、コルチコステロイドであるデキサメタゾンあるいはヒドロコルチゾンやアプレピタント併用の有無を調査した。評価は、ABVD療法施行後0–24時間の急性期、同24–120時間後の遅発期、同0–120時間の全期間における完全抑制率(CC)の患者割合を算出して行った。CCの定義は、観察期間中に、嘔吐がなく、救援レスキューを使用せず、悪心がない又は軽度(Grade0–1)であった場合とした。.
結果: 対象患者39名のうち、グラニセトロン投与患者は21名、パロノセトロン投与患者は18名であった。急性期、遅発期、全期間におけるCC率は、グラニセトロンとパロノセトロン投与患者間で統計学的な有意差を認めなかった。一方、コルチコステロイドを併用しなかった患者群における化学療法誘発悪心・嘔吐に対する全期間のCC率は11.1%であったのに比較して、コルチコステロイド併用下でのCC率は58.3%であり、CC率に対するコルチコステロイド併用の影響が有意差をもって認められた(p < 0.05)。また、有害事象として食思不振、白血球減少、好中球減少を訴える患者の割合は、グラニセトロン投与群と比較してパロノセトロン投与群で有意に高値を示した。発熱性好中球減少症の発症頻度にはコルチコステロイド併用による有意な影響を認めた。.
結論: これらの結果から、ABVD療法を施行するホジキンリンパ腫患者において化学療法誘発悪心・嘔吐をコントロールするためには、発熱性好中球減少症の発現を注意深く観察しながら、5-HT3受容体拮抗薬に加えてコルチコステロイドを併用することが効果的であることが示唆された。.
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