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Minna_de_Honkoku@yhashimoto:L000471 JSONTXT

【朱書】 《割書:明治廿九年|九月十六日》 向嶋及ビ本所区水害一覧 天に風雨の禍ひあれは地に震動の憂ひあり免れ難きは 天変地異防き難きは不慮の災害そかし爰に明治廿九年は 何奈なる厄年にや去る六月下旬は三陸の大津浪に数万の人命を 損弥降続く長雨に北越上野岐阜名古屋の洪水騒きを聞も うたてなことそやと倶に憂ふる時しも九月十六日午後三時と思しき 頃寝耳に響く早鐘太鼓夢おどろかす警報は利根の川水弥 まして中川木下川筋の水量かさみ濁流激烈その水勢すさまじく 村民のさわき一方ならすその沿岸防堤土俵を築き 本所深川の各警察署よりは警鐘を鳴しつゝも警部巡査 一同水防夫百数十名を指揮して大川筋橋々をはじめ水防に 尽力おこたりあらざりしが漸次に増る水勢に一二堤防決潰より 突入する激浪人力の防ぐ術も尽き水害を被りしは 先枕橋を渡りて水戸邸より三囲いなり木母寺秋葉 牛島神社その近傍の一面に濁水みなぎり湖水のごとく 深きは五尺浅き所も三尺におよぶ人家の水ひだし 綾瀬川の近傍ヨリ堀切亀有新宿小向井木下川は いふも更なり柴又かけて松戸ヨリ市川筋小松川付近 押上村業平橋続き十間川法恩寺橋亀井戸天神の辺まで 水にひたゝる人家のありさまは目もあてられぬことゞもなり 然ば警視庁より人民救助のため小蒸気船六艘と四十二 艘の伝馬船をだして遭難者の便利をはかられたり 実に水難は火災よりもおそろしく危ふくも水中を のがれし者も家具を持退く所にさまよひ器物を濁 水に濡せる体みるもいとゝあわれさは目もあてら れぬ有様なり猶雨天続かば遭難免れ難き客体 なればとて大島砂村両村其他方にても十七日は老幼を 立退せなどして用意に及びしが十八日早天ヨリ快晴になり しかは追々減水して其難をのがれしは幸福といふべし 右水難者救助として設られし避難所は左のごとし    向島神社事務所  此他総て    本所法恩寺     五十六ケ所に    同表町明徳学校  設置せられて    小松川       遭難者を救助す 【図中の文字・地名等】 内藤英次郎 《箱:砂むら》 《箱:浅草》 《箱:両国ばし》 この辺無事 《箱:ほうおんじ》 《箱:大島村》 《箱:かめいど》 《箱:おうまやばし》 《箱:小村井》 《箱:木下川》 《箱:平井》 《箱:いし原》 《箱:小松川》 《箱:押上》 《箱:業平橋》 《箱:原庭》 《箱:ばんば》 《箱:柴又》 《箱:吾妻橋》 《箱:小うめ》 《箱:三めぐり》 《箱:牛の御前》【牛嶋神社の旧称】 《箱:市川》 《箱:松戸》 《箱:四つ木》 《箱:あやせ川》 《箱:千住》 《箱:堀切》

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