@Toyofumi Fujiwara:00156
Annnotations
Nanbyo-330-20171127
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Rett(ウィーンの小児神経科医)により初めて報告された疾患である。本症は神経系を主体とした特異な発達障害である。初発症状は乳児期早期に外界への反応の欠如、筋緊張低下であるが、それらの症状が軽微なため異常に気付かないことが多い。乳児期後半以後、手の常同運動を主体とする特徴的な症状が年齢依存性に出現する。治療法は現時点では対症療法のみである。原因遺伝子はMethyl-CpG-binding protein2 遺伝子 (MECP2)である。MECP2の基礎的研究が進められているが、レット症候群の病態解明までには至っていない。\n\n2.原因 \n 本症の原因遺伝子としてXq28に連鎖するMethyl-CpG-binding protein2 遺伝子 (MECP2)がみつかった。その後、臨床的典型例において、レット症候群の80~90%にMECP2の変異がみられることが分かった。一方、レット症候群の数%を占める非典型例ではCDKL5、FOXG1の変異がみつかっている。\n\n3.症状 \n 本症の発症は乳児期早期にあり、睡眠、筋緊張の異常、姿勢運動の異常、ジストニア、側弯、情動異常、知的障害、てんかんなどの症状が年齢依存性に出現することを特徴とする。乳児期から、日中の睡眠時間が長く、外界からの刺激に対する反応に欠けることがある。運動発達は寝返りの獲得から遅れることが多く、独歩も遅れることが多く、生涯不能の例もある。乳児期後半にそれまで獲得した手の機能の消失と特異的な手の常同運動が出現する。発症早期の情動異常は自閉症との類似性があり、乳児期後半から知的障害が前面に出現し、最重度の知的障害を呈することが多い。また。頭囲の拡大は乳児期後半より停滞し、幼児期には小頭を呈することが多い。てんかん発作、特異な呼吸を呈してくることもある。小児期から思春期にかけて、突然死の発生も知られている。\n\n4.治療法 \n 根本的治療法がないため、治療は対症療法である。本症の重要な病態である移動運動や姿勢の異常に対する理学療法、手の常同運動に対して病態に沿った適切な上肢機能の指導なども必要である。情緒面の問題、知的障害に対す種々の工夫、療育等も重要である。常同運動、異常呼吸に対して薬剤療法も試みられてきているが、有効なものは無い。側弯が進行した場合、側弯矯正の手術が行われることがある。\n\n5.予後\n 精神・神経系を中心とした全身性の進行性疾患である。生命予後は、感染症や誤嚥性肺炎、QT延長の不整脈などの合併症による。\n\n\n\n○ 要件の判定に必要な事項\n患者数\n約1,000人\n発病の機構\n未解明(遺伝子異常によるとされるが詳細な病態は未解明。)\n効果的な治療方法\n未確立(対症療法のみである。)\n長期の療養\n必要(進行性である。)\n診断基準\nあり(研究班作成の診断基準あり。)\n重症度分類\n精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分、及び障害者総合支援法における障害支援区分における「精神症状・能力障害二軸評価」を用いて、以下のいずれかに該当する患者を対象とする。\n\n\u003ctable\u003e\n「G40てんかん」の障害等級 能力障害評価 \n\n1級程度 1~5すべて \n\n2級程度 3~5のみ \n\n3級程度 4~5のみ \n\n\u003c/table\u003e\n\n\n\n○ 情報提供元\n「レット症候群の診断と予防・治療法確立のための臨床および生物科学の集学的研究」\n研究代表者 国立精神・神経医療研究センター 室長 伊藤雅之\n\n\n<診断基準>\nDefiniteを対象とする。\n\nレット症候群の診断基準\n\nA.主要症状\n乳幼児期~小児期早期に以下の症状が出現する。\n1.目的のある手の運動機能を習得した後に、その機能を部分的、あるいは完全に喪失すること。\n2.音声言語を習得後に、その機能を部分的、あるいは完全に喪失すること。\n3.歩行異常:歩行障害、歩行失行。\n4.手の常同運動:手をねじる・絞る、手を叩く・鳴らす、口に入れる、手を洗ったりこすったりするような自動運動。\n\nB.典型的レット症候群診断のための除外基準\n1.明らかな原因のある脳障害(周産期・周生期・後天性の脳障害、神経代謝疾患、重度感染症など)による脳損傷。\n2.生後6か月までに出現した精神運動発達の明らかな異常。\n\nC.非典型的レット症候群診断のための支持的症状\n1.覚醒時の呼吸異常\n2.覚醒時の歯ぎしり\n3.睡眠リズム障害\n4.筋緊張異常\n5.末梢血管運動反射異常\n6.側弯・前弯\n7.成長障害\n8.小さく冷たい手足\n9.不適切な笑い・叫び\n10.痛覚への反応の鈍麻\n11.目によるコミュニケーション、じっと見つめるしぐさ\n\nD.鑑別診断\n以下の疾患を鑑別する。\nアンジェルマン症候群、ピット・ホプキンス症候群、自閉症スペクトラム症(障害)などの発達障害\n\nE.遺伝学的検査\n1.MECP2遺伝子変異\n2.CDKL5遺伝子検査\n3.FOXG1遺伝子検査\n※その他、従来から発達障害の原因遺伝子として報告されていた遺伝子異常でレット症候群類似の臨床像を呈する事が報告されている。\n診断のカテゴリー\nDefinite:以下のいずれかを満たす場合。\n典型的レット症候群の診断要件:Aのすべての項目+Bのすべての項目を満たすこと+Dの鑑別ができること+回復期や安定期が後続する退行期があること。\n非典型的レット症候群の診断要件:Aのうち2項目以上+Bのすべての項目を満たすこと+Cのうち5項目以上を満たすこと+Dの鑑別ができること+回復期や安定期が後続する退行期があること。\nProbable:Aのうち2項目以上。\n\n\n\n<重症度分類>\n精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分、及び障害者総合支援法における障害支援区分における「精神症状・能力障害二軸評価」を用いて、以下のいずれかに該当する患者を対象とする。\n\n\u003ctable\u003e\n「G40てんかん」の障害等級 能力障害評価 \n\n1級程度 1~5すべて \n\n2級程度 3~5のみ \n\n3級程度 4~5のみ \n\n\u003c/table\u003e\n\n\n精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分\n\n\u003ctable\u003e\nてんかん発作のタイプと頻度 等級 \n\nハ、ニの発作が月に1回以上ある場合\t 1級程度 \n\nイ、ロの発作が月に1回以上ある場合 ハ、ニの発作が年に2回以上ある場合\t 2級程度 \n\nイ、ロの発作が月に1回未満の場合 ハ、ニの発作が年に2回未満の場合\t 3級程度 \n\n\u003c/table\u003e\n\n「てんかん発作のタイプ」\nイ 意識障害はないが、随意運動が失われる発作\nロ 意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作\nハ 意識障害の有無を問わず、転倒する発作\nニ 意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作\n\n精神症状・能力障害二軸評価 (2)能力障害評価\n○判定に当たっては以下のことを考慮する。\n①日常生活あるいは社会生活において必要な「支援」とは助言、指導、介助などをいう。\n②保護的な環境(例えば入院・施設入所しているような状態)でなく、例えばアパート等で単身生活を行った場合を想定して、その場合の生活能力の障害の状態を判定する。\n\n\u003ctable\u003e\n1 精神障害や知的障害を認めないか、または、精神障害、知的障害を認めるが、日常生活及び社会生活は普通にできる。 ○適切な食事摂取、身辺の清潔保持、金銭管理や買い物、通院や服薬、適切な対人交流、身辺 の安全保持や危機対応、社会的手続きや公共施設の利用、趣味や娯楽あるいは文化的社会的活動への参加などが自発的にできるあるいは適切にできる。 ○精神障害を持たない人と同じように日常生活及び社会生活を送ることができる。 \n\n2 精神障害、知的障害を認め、日常生活又は社会生活に一定の制限を受ける。 ○「1」に記載のことが自発的あるいは概ねできるが、一部支援を必要とする場合がある。 ○例えば、一人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難である。 ○デイケアや就労継続支援事業などに参加する者、あるいは保護的配慮のある事業所で、雇 用契約による一般就労をしている者も含まれる。日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じることがある。清潔保持は困難が少ない。対人交流は乏しくない。引きこもりがちではない。自発的な行動や、社会生活の中で発言が適切にできないことがある。行動のテンポはほぼ他の人に合わせることができる。普通のストレスでは症状の再燃や悪化が起きにくい。金銭管理は概ねできる。社会生活の中で不適切な行動をとってしまうことは少ない。 \n\n3 精神障害、知的障害を認め、日常生活又は社会生活に著しい制限を受けており、時に応じて支援を必要とする。 ○「1」に記載のことが概ねできるが、支援を必要とする場合が多い。 ○例えば、付き添われなくても自ら外出できるものの、ストレスがかかる状況が生じた場合に対処することが困難である。医療機関等に行くなどの習慣化された外出はできる。また、デイケアや就労継続支援事業などに参加することができる。食事をバランスよく用意するなどの家事をこなすために、助言などの支援を必要とする。清潔保持が自発的かつ適切にはできない。社会的な対人交流は乏しいが引きこもりは顕著ではない。自発的な行動に困難がある。日常生活の中での発言が適切にできないことがある。行動のテンポが他の人と隔たってしまうことがある。ストレスが大きいと症状の再燃や悪化を来たしやすい。金銭管理ができない場合がある。社会生活の中でその場に適さない行動をとってしまうことがある。 \n\n4 精神障害、知的障害を認め、日常生活又は社会生活に著しい制限を受けており、常時支援を要する。 ○「1」に記載のことは常時支援がなければできない。 ○例えば、親しい人との交流も乏しく引きこもりがちである、自発性が著しく乏しい。自発的な発言が少なく発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。日常生活において行動のテンポが他の人のペースと大きく隔たってしまう。些細な出来事で、病状の再燃や悪化を来たしやすい。金銭管理は困難である。日常生活の中でその場に適さない行動をとってしまいがちである。 \n\n5 精神障害、知的障害を認め、身の回りのことはほとんどできない。 ○「1」に記載のことは支援があってもほとんどできない。 ○入院・入所施設等患者においては、院内・施設内等の生活に常時支援を必要とする。在宅患 者においては、医療機関等への外出も自発的にできず、付き添いが必要である。家庭生活においても、適切な食事を用意したり、後片付けなどの家事や身辺の清潔保持も自発的には行えず、常時支援を必要とする。 \n\n\u003c/table\u003e\n\n\n\n\n※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項\n1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。\n2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。\n3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続す\nることが必要なものについては、医療費助成の対象とする。"}