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1.核内受容体の作用機構
1.核内受容体の作用機構
 核内受容体は基本構造が共通している.転写活性領域としてAF-1とAF-2をもち,そのあいだにDNA結合ドメインが存在する.リガンド結合領域はAF-2に存在し,転写活性はリガンド依存的である.リガンド結合領域は細胞外からのシグナルを受容・調節する重要な領域である.PPARは核内受容体型転写因子であるレチノイン酸X受容体(RXR)とヘテロ2量体をつくり,標的遺伝子のプロモーター領域に存在するPPAR応答配列(PPAR response element:PPRE)に結合し,コリプレッサーの解離やコアクチベーターの結合を介して標的遺伝子の転写活性を調節している.すなわち,リガンドと結合することにより立体構造の変化および転写共役因子との結合を生じ,転写の活性化あるいは抑制を制御する受容体である.
 PPARには3種類のサブタイプが存在する2).PPARαは心臓や肝臓など脂肪を消費する臓器に高発現しており,PPARβ/δは筋肉や脳に高発現している.PPARγは脂肪細胞など脂肪を蓄積する臓器に高発現していることが特徴である.さらに,PPARγには,転写開始点が違うために分子量の異なる2つのサブタイプ,PPARγ1とPPARγ2が存在しており,脂肪細胞にはPPARγ2が強く発現している3).これらのサブタイプはいずれも脂質代謝や糖代謝に関連する疾病に深くかかわっており,それらの創薬および治療に対する重要な標的である.
 PPARサブタイプのなかでもっとも精力的に機能解析がなされてきたのがPPARγである.なぜなら,その選択的な合成リガンドであるチアゾリジンジオン誘導体がPPARγの活性化を介して小型脂肪細胞を増加させることにより,インスリン感受性を増強し血糖値を低下させることが明らかになったためである4).たとえば,チアゾリジンジオン誘導体のひとつであるピオグリタゾンやロシグリタゾンは,PPARγに強い親和性で結合し,脂質の貯蔵,輸送などにかかわる遺伝子の発現レベルを調節している.近年,ライフスタイルの変化とともにわが国での糖尿病患者は増加し,生活習慣病のひとつとして注目される疾患となっている.最近では,PPARγは糖尿病や高脂血症などの代謝異常症に関与するほか,がん細胞の増殖に関与することが報告されている.PPARγを介した疾病治療薬の開発はきわめて有望な研究分野である.

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