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はじめに
はじめに
 Sulfolobus目の古細菌,たとえばSulfolobus acidocaldariusは好熱好酸菌であり80度かつpH 2~4を至適条件として成長し,1つの細胞が二分裂(binary fission)により2つの娘細胞へと分裂して増殖する.しかしながら,これらCrenarchaeota界に属する古細菌は生物にほぼ普遍的に存在するアクチンやチューブリンなどの細胞骨格タンパク質を欠損しているため,どのように細胞分裂を行うのかは明らかでなかった.近年,いくつかのグループが,これらの古細菌にESCRT複合体の主要構成タンパク質であるESCRT-IIIとVps4の保存されていることを示し新たな展開をみせている1-3).ESCRT複合体は真核生物においてエンドソーム分解経路を担う複合体としてはじめて同定され,さらに,HIV-1などのレトロウイルスが細胞からの出芽の際にESCRT複合体を利用していること,および,ヒトの細胞において細胞分裂の最後のステップに役割をはたしていることが示された4,5).一方で,Sulfolobus目の古細菌についての研究から,細胞分裂に応じESCRT-IIIおよびVps4のmRNA量が極大を示すことが報告された1,2).さらに,ESCRT-IIIとVps4の両方は分裂している核様体のあいだに局在し環構造をとることが示された.また,酵素活性を失活させたVps4変異体を過剰発現させることで巨大細胞の出現,多核細胞,無核細胞など細胞分裂に異常をきたしていることを示唆するデータが示された.これらの結果から,ヒトの細胞と同様にSulfolobus目の古細菌においてもESCRT複合体が細胞分裂に重要な役割をはたしているものと考えられている.
 真核生物ではESCRT-IIIが細胞膜を切断し小胞を出芽させる機能を担っているものと考えられているが,その機能は複雑な分子機構により高度に制御されている6,7).しかしながら,Crenarchaeota界に属する古細菌では真核生物においてESCRT-IIIのリクルートに必要とされるESCRT-0,ESCRT-I,ESCRT-IIの相同体の存在がいまだ確認されていない.くわえて,真核生物のESCRT-IIIと相互作用するリン脂質も古細菌には存在しないため,ESCRT-IIIがどのように細胞膜へと移行するのかはまったくの謎であった8,9).この論文では,新規のタンパク質CdvAがESCRT-IIIと相互作用することを示し,CdvA-ESCRT-III複合体の結晶構造からその結合様式を明らかにするとともに,それらが非常にユニークなウイングドヘリックス様ドメインをとっていることを明らかにした.また,CdvAのヘリカルドメインが古細菌に由来するリポソーム膜と相互作用することを示した.これらのことから,ESCRT-IIIを細胞膜へと誘導する新規タンパク質としてCdvAを同定した.

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