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4.変異型p62ノックイン/麻疹ウイルストランスジェニックマウスにおける解析
4.変異型p62ノックイン/麻疹ウイルストランスジェニックマウスにおける解析
 Paget’s病患者の骨髄細胞の解析からp62の変異と麻疹ウイルスの感染の両方がその病因として指摘された.しかし,Paget’s病の発症におけるそれぞれの役割は不明である.筆者らは以前に,破骨細胞系列の細胞のみに麻疹ウイルスヌクレオカプシドタンパク質を発現するトランスジェニックマウスを作製し,そのうち29%がPaget’s病による骨病変を発現し破骨細胞もPaget’s病による病変を発現すること,対照的に,392番目のPro残基がLeu残基に置換した変異型p62のノックインマウスではPaget’s病に近い骨病変を発現するが破骨細胞にはPaget’s病による病変を発現しない,という現象を報告している.そこで,変異型p62と麻疹ウイルスの両者の破骨細胞の形成および骨リモデリングに対する影響を検討するため,変異型p62ノックインマウスと麻疹ウイルストランスジェニックマウスからその二重変異をもつマウスを作製し検討した.さらに,対照として,野生型マウス,麻疹ウイルストランスジェニックマウス,変異型p62ノックインマウスについても検討した.
 1)刺激に対する感受性:麻疹ウイルストランスジェニックマウスおよび変異型p62ノックイン/麻疹ウイルストランスジェニックマウスの破骨前駆細胞は低濃度の1,25-ジヒドロキシビタミンD3による刺激においても破骨細胞の形成が認められ,野生型マウスおよび変異型p62ノックインマウスと比較して有意に破骨細胞数が増加していた.これまでの筆者らの知見から,1,25-ジヒドロキシビタミンD3に対する高感受性にはTAF12の発現が関与していることがわかっていたためその発現を検討した.その結果,麻疹ウイルストランスジェニックマウスおよび変異型p62ノックイン/麻疹ウイルストランスジェニックマウスの破骨前駆細胞においてTAF12の高い発現が認められた.一方,RANKLへの感受性は,野生型マウス,麻疹ウイルストランスジェニックマウスと比べ変異型p62ノックインマウス,変異型p62ノックイン/麻疹ウイルストランスジェニックマウスで亢進していた.
 2)破骨細胞の形態(Paget’s病による病変をもつ破骨細胞の出現):1,25-ジヒドロキシビタミンD3により誘導した破骨細胞の形成系では,麻疹ウイルストランスジェニックマウスおよび変異型p62ノックイン/麻疹ウイルストランスジェニックマウスにおいて破骨細胞数とその大きさが増大し,さらに,1細胞あたりの核数が著しく増加していた(図1).一方,RANKLにより誘導した破骨細胞の形成系ではいずれのマウスにおいても破骨細胞の形態に変化はなかった.変異型p62ノックイン/麻疹ウイルストランスジェニックマウスの破骨前駆細胞はRANKL刺激に対して破骨細胞を有意に増加させたが,1,25-ジヒドロキシビタミンD3刺激により形成された破骨細胞と比較すると核の数も少なく大きさも小さかった.麻疹ウイルストランスジェニックマウスおよび変異型p62ノックイン/麻疹ウイルストランスジェニックマウスの破骨前駆細胞は1,25-ジヒドロキシビタミンD3刺激により有意に骨吸収を促進した.また,RANKL刺激においては,野生型マウスに比べ麻疹ウイルストランスジェニックマウス,変異型p62ノックインマウス,変異型p62ノックイン/麻疹ウイルストランスジェニックマウスの破骨細胞において骨吸収が増加していた.Paget’s病による病変を示す破骨細胞は1,25-ジヒドロキシビタミンD3刺激に対し高感受性で,その刺激により高レベルのインターロイキン6を分泌することが報告されている.そこで,破骨前駆細胞からのインターロイキン6の産生を検討した.その結果,麻疹ウイルストランスジェニックマウスおよび変異型p62ノックインマウス/麻疹ウイルストランスジェニックマウスから高レベルのインターロイキン6の産生が認められた.

 3)Paget’s病による破骨細胞の形成にかかわるシグナル伝達経路:p38はインターロイキン6の産生に関与していることが示唆されている.そこで,p38シグナルについて検討した.その結果,1,25-ジヒドロキシビタミンD3刺激により麻疹ウイルストランスジェニックマウスおよび変異型p62ノックイン/麻疹ウイルストランスジェニックマウスの破骨前駆細胞では5分後をピークに著しいp38リン酸化を示したが,野生型マウスおよび変異型p62ノックインマウスではあまり顕著な変化を示さなかった.
 4)組織学的および骨形態学的な検討(Paget’s病による骨病変の有無):骨を組織学的に検討したところ,野生型マウスに比べ変異型p62ノックイン/麻疹ウイルストランスジェニックマウスでは18カ月齢で劇的な骨病変が観察された.さらに,骨髄コンパートメントに多数の多核の破骨細胞が認められ,局所の骨に網目状のPaget’s病に特有の骨吸収像も認められた(図1).

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